yabusameyamaのブログ

野草を見続けて40年草花にレンズを向けて好きなように写真を撮る

野の花・花の知恵

ツリフネソウの生きる知恵
ツリフネソウ(釣船草、吊舟草)ツリフネソウ科ツリフネソウ属
ツリフネソウの面白い仕掛けと知恵


ツリフネソウの受粉の仕組み、
山歩きしていると日当たりの少しいい所の湿気のあるところでよく見かける。ただ花を眺めて面白い形の花と見るか、もう少し観察してこの花の面白さを見るか?




ツリフネソウの花は特徴的な形をしており、花の奥に蜜を溜める距という細長い管を持つ。長いくちばしを持つ昆虫でなければ蜜に届かない。関係が一番深いのはトラマルハナバチといわれている。
ツリフネソウの受粉の仕組みは、トラマルハナバチなどが長い口吻を使って花の奥にある蜜を求めて訪れ、その過程で花粉を運び、新たなツリフネソウの種子を生み出す。


花の奥にクルリと巻いた距と呼ばれる蜜がたまる部分がある。
トラマルハナバチはこの蜜を求めて花に訪れ、
花に潜り込むときに上にある雄しべの花粉を背中に付ける。
ツリフネソウの仲間は、花の咲き始めは花粉を出す雄性期で、後に雌性期に変化する。雄しべが花粉を出し終わる頃に丸ごととはずれてその奥にある雌しべが現れる(雌性期の花)。
山で多くの花が咲いてるのを見るが実はその中には雄性期の花、雌性期の花が入り混じっている。
トラマルハナバチが雄性期の花を訪れて背中に花粉を付け、次に雌性期の花を訪れてめしべに受粉する。


花の上部に見えるのが雄性期の雄しべ


このような仕組みは、「間接的な自家受粉を防ぐ」ためで、これにより遺伝的多様性が保たれる。つまり、同じ個体の雄しべとめしべで受粉する自家受粉を避け、植物が生存と繁栄を続けるための重要な戦略を考えている。不思議な花で色々な昆虫が訪れしばらく眺めていても見飽きない。



さらにこの草は花後の蒴果が面白い。うっかり触るとあっというまに種を四方へ飛ばしてしまう。そこで手のひらでそっと握る。すると手の中ではじけるのがよく判る。手を広げてみると種と一緒にバネガ出てくる。子孫を少しでも離れた所へ飛ばす知恵だろう。
黒いのが種子で丸くなってるのがはじけたバネ

×

非ログインユーザーとして返信する